つれづれ帖

京都市美術館コレクション展第1期「恋する美人画-女性像に秘められた世界とは」(2014年4月5日~5月11日)◇しゃん日記◇

京都市美術館コレクション展「恋する美人画-女性像に秘められた世界とは」を拝見してきました。優れた美人画が盛りだくさんで、皆さまにもぜひご覧頂きたい展覧会です。作品のほんの一部をご紹介させて頂きます。

《ピアノ》中村大三郎_wp

こちらは、京都を代表する美人画家・中村大三郎(1898-1947)の《ピアノ》です。
優美な曲線と重厚感をもつグランドピアノが画面の大半を占める大胆な構図。大正時代に流行した地色が鮮やかで暈しの入った振袖に、羽根の大きなふくら雀を結んだ令嬢。モデルは夫人です。チェコ製のピアノ・ペトロフの鍵盤の上をしなやかに走る指先から奏でられるのは、シューマンの<小さなロマンス>と<トロイメライ>。当時の裕福な上流階級の女性は、ピアノを習うというのがたしなみのひとつだったそうです。
中村大三郎は、染色関係の仕事をする家に育ち、幼い頃から色彩感覚を磨きました。京都市立美術工芸学校を卒業後、京都市立絵画専門学校へ進学。在学中の弱冠20歳で文展へ初入選するなど、早くから頭角を現した俊才です。特定の師を持たなかったことが、オリジナリティーのある作品を生み出す結果へと繋がったといわれています。謡曲を題材にした作品も数多く残しています。

《望遠鏡》由里本景子

こちらの《望遠鏡》を描いたのは、京都生まれの由里本景子(1906-2000)です。上村松園と西山翠嶂に師事して日本画を学びました。
望遠鏡を覗く女性は、大きな矢羽根柄の着物を着て清々しい印象を与えています。彼女が座る椅子はカンチレバーという構造でできており、重力から解放されたような軽やかさが特徴の、当時としては最先端スタイルの椅子です。後ろに立つ女性二人は断髪ヘアにカチューシャ。大胆な縞柄の着物は、彼女たちの心模様をあらわすかのように、のびのびとした快活さがあります。張りのある感じはお召しなのかもしれません。皆で一心に見つめる先には、いったい何があるのでしょう?新しい未来?想像するだけでも楽しいですね。

今展は「美人画」という名称が確立された明治頃の花嫁姿を描いた上村松園《人生の花》にはじまり、昭和初期の作品とは思えないほどモダンな女性がベッドに横たわる勝田哲《朝》や、女性がスカートの裾を大きく広げて力強く矢を放つ丹羽阿樹子の《遠矢》などが展示されています。ほかにも菊池契月や広田多津らによる少女を題材にしたものや、梶原緋佐子の生活感に満ちた女性、甲斐庄楠音などの男性作家による異性への興味を感じる作品など。時代とともに移り変わる美人画・女性表現を広い視座で鑑賞することができる構成内容だと思います。

そして、ご存知の方も多いと思いますが、京都市美術館は昭和8年建設当時のままの建造物です。アール・デコ調の建物内部にはふんだんに大理石が使われ、天井には花の意匠のステンドグラスがはめられているなど、絵画作品以外にも見どころがいっぱい。美術館の裏庭には緑に囲まれた静かな池もありますので、散策コースとしてもオススメです。春の京都岡崎へぜひお出かけ下さいませ。
(中千尋)

 

kyotocitymuseum

京都市美術館コレクション展 第1期
「恋する美人画―女性像に秘められた世界とは」

<会期>
2014年4月5日(土)〜5月11日(日)
午前9時〜午後5時(入場は午後4時30分まで)

<休館日>
月曜日(5月5日は開館)

<入館料>
大人500円(400円) 高大生500円(400円)
小中生300円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金
※京都市内在住の70歳以上の方(敬老乗車証の提示で確認)、障害者手帳などを提示の方、京都市内在住または通学の小・中学生および高校生、京都市内に在住もしくは勤務する平成27年3月31日時点で18歳以下の方は無料。

<会場>
京都市美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町124)
TEL: 075-771-4107
http://www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma/

つれづれ帖バックナンバーへ

つれづれ帖