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講談社野間記念館「十二ヶ月図の世界」展(2014年1月11日〜2014年3月2日)◇しゃん日記◇

毎日寒いですね。お風邪など召されていませんか?
講談社野間記念館「十二ヶ月図の世界」展を拝見してきました。
小品の展覧会ですが優れた作品ばかりなので、ご紹介させて頂きます。

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今回の展示では、講談社が出版する雑誌の表紙として使う為に依頼した、12ヶ月ひと揃いの色紙を観ることができます。
昭和初期に画壇で活躍していた著名な日本画家の作品が多く、季節感を表現するために様々な趣向を凝らしています。鏑木清方、伊東深水、北野恒富、伊藤小坡、山村耕花、勝田哲、梥本一洋、松岡映丘など、他にも綺羅星のごとき作家が勢ぞろい。
色紙ということで、大作のような迫力を求めるものとは違い、肩の力を抜いて楽しみながら取り組んだように思われる作品が多く、今ではあまり見かけなくなった季節の風物詩も次々と登場し、観ていて痛快な気分になりました。

私が気に入ったのは、伊藤小坡《九月・虫売》です。
虫売(むしうり)とは、鈴虫やキリギリスなどの鳴く虫を売り歩く行商人のことです。江戸時代にはよく見られた風俗です。
小坡が描く虫売は、こちらに背を向けて籠に虫を入れている最中のようで、後ろ姿がほっそりとして美しく、こんなに美人の売り子が来たら思わず買ってしまいそう。夏物の袖なし羽織の透け具合が丁寧に表現されていて、涼しさや軽やかさを感じます。
背後に描かれた商売道具の籠も詳細に描かれており、小さな色紙の世界に思わず惹きこまれてしまいました。

北野恒富の作品も素晴らしいものばかりです。
雑誌の表紙を意識してか、顔をアップにしてトリミングした大胆な構図の作品が面白いです。
恒富が得意とする鷺娘(《十二月・鷺娘》)も見逃せません。綿帽子の奥で怪しい色香を含む女の表情が、なとも言えぬ物語性を醸し出しています…。
《四月・舞妓》も魅力的。下唇にのみ紅を塗っていますので、店出しして間もないのでしょうか?あどけない横顔が初々しくて春らしいです。

作品の多くは色紙額に入れられており、とても間近で観ることができます。
閑静な目白にある美術館で、小さな美の世界に触れてみませんか?四季折々の豊かな表現に、満ち足りた気持ちになって頂けることと思います。
(中千尋)

 

講談社野間記念館「十二ヶ月図の世界展」チラシ表

講談社 野間記念館「十二ヶ月図の世界

<会期>
2014年1月11日(土)〜3月2日(日)
午前10時〜午後5時(入館は午後4時半まで)

<休館日>
月・火曜日(祝日の場合は水曜日以降に振り替え)
※1月15日(水)、2月12日(水)は休館

<入館料>
一般500円 学生300円(小学生以下無料)

<会場>
講談社野間記念館(東京都文京区関口2-11-30)
TEL: 03-3945-0947
http://www.nomamuseum.kodansha.co.jp/installation/

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